釜石の海で働く漁師、久保さんは、豊洲市場や全国のオイスターバーで人気の「尾崎牡蠣」の生産に携わる一方で、牡蠣の卸売会社の営業としても活躍しています。海産物の養殖や漁業の厳しさに立ち向かいながら、漁師としての経験を活かせる営業活動に加えて、普段からリモートワークで業務をしているスキルを活かした副業にも取り組むべく、弊社に登録して副業にも挑戦しようとされています。自然の変化に左右される職業の中で、彼が見つけた新たな働き方とは?今回は、久保さんの多忙な日常とその背景に迫ります。釜石における牡蠣養殖について鈴木)今日はよろしくお願いします。まずは、漁師としてのお仕事についてお伺いしたいのですが、「釜石の牡蠣の季節」について、教えてください。久保)釜石の牡蠣の出荷時期は、5月下旬から7月下旬と10月から12月頃の2シーズンに分かれています。尾崎牡蠣というブランドで販売されていて、豊洲市場や全国のオイスターバーでも人気の牡蠣です。オイスターバーチェーンでも、釜石の牡蠣は取扱い量が多くトップクラスの人気を誇っています。鈴木)ありがとうございます。全国のオイスターバーでも「尾崎牡蠣」が人気が高いというのは、釜石の人間としては、嬉しいニュースですね!私も食べたことがありますが、今までに見てきたどの牡蠣よりも身が大きくてふっくらしているし、旨味が濃くて特に牡蠣のファンではない人でも一気にハートが掴まれるほどのインパクトがあると思いました。久保さんが関わっている漁業鈴木)ちなみに、上記で教えていただいた牡蠣も含め、漁業としてはどのようなものを獲ってらっしゃるのでしょうか?久保)主に夏の時期はうに漁、冬の時期はあわび漁やなまこ漁をしています。父がわかめ養殖と牡蠣養殖をやっているので、その仕事も手伝っています。漁船名称:栄宝丸(お父様所有の漁船)漁の種類:養殖:わかめ(3月〜4月)、牡蠣(5月〜12月)漁船名称:晨栄丸(久保さん所有の漁船)漁の種類:うに漁:5月上旬〜8月上旬(火・金 釜石湾漁協)あわび漁:11月、12月(5〜6回)-漁師さんの判断で口開けが決まる(前日決定)なまこ漁:12月〜1月上旬鈴木)さまざまな海産物の漁をされているわけですが、それぞれ難しさは異なりますか?また、異なる場合、どういった点に配慮されてますか?久保)環境の変化に左右されるので、変化に対応する難しさは感じますね。養殖物の出来もその年によって違いますし、天然物も、昨年良かったのに今年は全然採れないなんていうことも多くあります。ここ数年の海域環境の変化が凄まじいので、情報収集や生産者さんとの情報交換を積極的に行うようにしています。卸売会社での業務内容鈴木)漁師の他にもお仕事をなさっているとのことですが、そちらのお仕事の内容ってお聞かせいただけますでしょうか?久保)釜石の牡蠣の出荷先でもある、牡蠣の卸売会社で働いています。平日日中の時間帯で、リモートワークを中心に営業やSNS運用の仕事をしています。鈴木)日中の仕事ですが、卸売ならではの【おもしろさ】はどんなところですか?久保)全国の飲食店さんとの繋がりが増えることにおもしろさを感じますね。生産に携わった牡蠣が、様々な飲食店で使われているのを見ると、嬉しさと同時におもしろさを感じます。生産現場にいるだけだと、なかなか実感する機会が少ないので、卸売ならではのおもしろさだと思います。鈴木)なるほど、飲食店さんで実際に使われているのを見れる機会が定期的にある、というのは卸売会社ならではのメリットですよね!釜石・岩手沿岸地域の特徴のようなものがあれば教えてください。久保)様々な漁種ができる環境があることが、三陸沖の特徴でもあり強みだと思います。牡蠣卸売会社社員(営業、SNS運用担当等)⇒リモートワークメイン(平日日中)漁業(4時〜9時 不定期)⇒家業の養殖業をサポート、自ら船を所有し、うに漁やあわび漁を行っている今後について鈴木)久保さんは、local hackでリモートワークによるお仕事もされていますが、始めてみようと思ったきっかけと、どのような仕事をされているかを教えてください。久保)漁業を始めて今年で3年目になりますが、自然に左右されやすい職種で収入の波があるため、他の仕事で収入をカバーできる方法がないか探していました。そんなときに代表の鈴木さんとお話する機会がありご相談したところ、「リモートでもできる仕事がある」と聞いたのでやってみようと思いました。現在は、資料作成業務など、リモートでできる仕事を中心に少しずつ始めています。今後は生産現場からの視点や経験を活かして、地域活性化に関わる仕事にも積極的に関わっていきたいと思っています。鈴木)ありがとうございます。最後に、コラムをご覧になっている方に向けてお伝えしたいことがあればお願いします。久保)コロナ禍もあって、リモートワークをする方が年々増えてきたと思いますが、地方ではまだまだ浸透していないように感じます。地方での暮らし方や働き方は、工夫次第でもっと面白くなると思っています。local hackをきっかけに暮らしや働き方をアップデートすることに興味がある方は気軽に相談してみてください!久保晨也(くぼしんや) 33歳 高校卒業後、鉄道会社に入社。 駅員、車掌業務に従事。2015年にUターン、復興支援事業をする団体のスタッフとしてツアーコーディネート、観光プログラム企画に携わる2017年から牡蠣関連会社に入社 加工場勤務を経て、現在は飲食店向けの営業を担当 2020年から晨栄丸でうに漁やあわび漁などの漁業をスタート久保さんのInstagram文責:local hack編集部(鈴木)