地域の中小企業にお話を伺う機会があるのですが、みな一様に「ちゃんとした人材が欲しい」ということを仰います。国内は今、コロナショック以降で最も人手不足という状況に置かれています。そもそも、「少子化」で若者が相対的にも絶対数も少なくなる中、反して定年を迎えたシニア世代が「高齢化」でどんどん相対的に増えています。そうなってくると、「後継者不足」や「労働者不足」というループになり、地方から弱っていきコンパクトシティへの転換を試みるも、若者は都市圏へ雇用を求めて出て行ってしまいます。今回は、「弱っていく」わけにはいかない地方の中小企業が、人手不足と嘆くわりにハードルをそこまで下げていないのではないかと見る理由と、採用できない経営者に焦点を当て、その原因を見ていきたいと思います。人手不足による倒産を未然に防ぐための予防策や対策を立ててください。従業員の退職の心配のない組織構築、人手の波を考えなくても良くなる「在宅ワーク」を活用することで、必要なスタッフを確保し、少人数でもチーム形成が図れます。詳細は以下のリンクより資料をダウンロードしてください。ダウンロードリンク人手不足の現状と採用まで進まない主な理由現在の人手不足日本は高齢化と少子化が顕著に進んでいる国でもありますが、2021年の労働力人口がおよそ7600万人だったのに対して、2025年には7000万人を切る見込みです。たった4年間で600万人もの働き手がいなくなるというのは尋常なスピードではありません。この人手不足は多くの業種に影響を及ぼします。・サービスの質の低下・生産性の低下・コストの増大・事業の縮小や廃止など、多くのリスク要因になりえます。政府は打ち手として、「外国人労働者の受け入れ拡大」、「女性や高齢者の就労」、「テレワークやフレックスタイムの導入」、「AIや人工知能の活用」、「賃金の引き上げ」など、様々な施策を実施していますが、どれもそう簡単に「よしできた!」となるようなものではなく、浸透していくのに時間がかかるでしょう。その中でも、比較的産業に対して振興がみられやすい「賃金引き上げ」と「最新技術導入」はよく取り沙汰されていますね。進化のスピードにはついていかなければならないということと、賃金は「国民の生活」と表裏一体なので、企業に向けて強く要望しているのがニュースなどでもトピックになっています。しかし、言われた側の企業には「そうですか」と賃金を上げられるだけの体力はあるのでしょうか?採用が難しい主な理由人件費と売上のバランス = 新しいスタッフを雇いたくても、お給料を払えるだけの売上が見込めない場合、人件費までかけられないため採用は難しいわけです。経験者求人の増加 = はっきりいって、優良な人材の獲得はどの企業も同じ思いでしょうから、自然と「経験者」を求める求人が増加します。つまり、未経験者の育成にかかるコストとリスクを避けたい企業がほとんどです。これまでと違い、悠長に研修をしているほどの時間的・金銭的余裕がないからです。定着率の低下 = 「多様な働き方」を求める現代では、せっかく採用を決断しても、そのスタッフがいつまで続くかわからないなどの不安要素が多く、定着率が低いイコール採用コストや教育コストが増大となり、経営に悪影響です。人手不足が深刻な職種ランキング1. 土木職:有効求人倍率5.60倍土木職は、インフラ整備や建築が進行しているなか、技術者や現場作業員の不足がかなり顕著です。この職種では、フィジカルな労働が求められることや、業界特有の専門的なスキルが必要とされるため、若い労働力の確保自体が困難になりつつあります。つまり、現役世代が高齢化していることも、人手不足を加速させています。2. 介護関係:有効求人倍率3.38倍日本の急速な高齢化に伴い、2000年台後半から需要が増加傾向です。しかし、賃金の低さや労働条件の厳しさ、精神的・肉体的な負担が大きく、新たな労働力の流入が追い付いていません。まして、この業界では専門性と経験が重視されるため、未経験者の採用と育成には相当の労力が必要になることも課題となっています。3. サービス職:有効求人倍率2.82倍飲食、小売、宿泊業を含めて、慢性的にに人手が求められる職種です。特に都市部では、長らく続く円安によるインバウンドの需要増加に伴い、飲食や観光の労働力不足が顕著です。非正規雇用の割合が高く、低賃金と不安定な労働環境が原因で、長期的なキャリアを築きにくいのもあるのでしょうか。4. 運送業:有効求人倍率1.32倍運送業は、ECサイトの拡大とオンラインショッピングの普及により、配送需要が急増しています。にも関わらず、ドライバーの高齢化と若年層の就業回避が問題であり、運送業務を担える人材が不足しています。加えて今年からは労働条件の規制を厳しくしている「2024年問題」も、新しい労働者の確保を困難にしています。5. 情報サービス:有効求人倍率1.32倍情報サービスは、デジタルトランスフォーメーションの進展や、データ分析、システム開発が、AIの影響からか、需要が特に増加しているイメージです。しかし、高度な技術力と最新の知識が必要であり、適格な人材が明らかに不足しています。どうしても教育と育成に時間がかかってしまうことが課題です。人手不足の特徴と解決策不適切な採用条件 = 部署ごとに必要な人材を明確にしたうえで、ターゲットを定めて狙い撃ちにします。間口が広いよりも絞ったほうがこの際、効果的と言えるでしょう。労働環境の問題 = 労働環境を見直して、社員が直面している問題が「どういう内容なのか」を直視することが必要です。属人的な業務の多さ = 「この人がいないと回らない」という状況は、以前まではスペシャリスト的なニーズとなっていた側面がありますが、労働人口の少ない今では、無くしていくのが賢明です。業務の属人化は取り除いていったほうが今後のためです。生産性の低さ = 生産性の向上を図る必要があります。これまでは「長時間労働」が「できている・やっている」と評価された側面もありますが、時間に依存せず成果を出す働き方を促進していかないと労働生産性は上がらないでしょう。